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人生を変えた恩師との出会い  小玉 宏

facebookでつながる教師<小玉 宏>たまちゃんが
今、どんな思いで先生をしているのかをつづった文章を読みました。

長い文章ですが、今日シェアしたいと思いました。
時間がある時にぜひ読んでください。

柔道界がニュース等で揺れ動いていますが、
「教える」とは、また教師という職業について深いお話です。

みなさん、感動の涙をぜひ流してください。

-------------

【人生を変えた恩師との出会い】

実はですね、
高校時代の一時期、
私はやる気のカケラもない、
すさんだ生活を送っていました。

特に理科と数学が大嫌いでですね、
授業も出たくなくて、
仮病を使っては早退して、
遊び歩いていたんです。

先生に呼び出されてですね、
職員室の真ん中で、
「オマエの目は腐っちょる!」と
怒鳴られたこともありました。

でも、
そのときの自分はですね、
心の中で

「アンタにいったい、
 オレの何が分かるとか!」

って、まったく聞く耳を
持ちませんでした。

まあ、当然ですけど、
順調に落ちこぼれて沈んで
いくワケです。

高校3年のときに、
新しく化学の先生が
赴任して来られました。

この先生、
新任式のあいさつでですね、
1,300名もの生徒を
目の前にしてですよ、

「えー、私、
 右も左も分かりますけど、
 よろしくお願いします」

っておっしゃったんです。

この先生との出会いが、
私の人生を大きく変えました。

この先生、
最初は化学関係の会社に入社されて、
かなり良い地位におられたそうです。

ですけど、
どうしても先生になりたいって思いを
抑えきれなくて、
その会社を辞めて、学校の先生に
転職されたんだそうです。

だからなんでしょうね、
それはもう目からウロコが落ちるくらい
授業が分かりやすくてですね、
気がついたら
化学がすっかり得意科目に
変身してたんです。

「この先生すげー!」
って憧れてですね、
とにかく、
先生が卒業された大学に
自分も行きたい!って、
ホント単純ですけど
そう思ったんです。

そこから猛勉強を始めました。

3年の9月の全国模試で、
それまでは希望大学の欄にですね、
「お茶の水女子大」とか
「ノートルダム清心女子大」とか
フザけたことを
書いていたんですけど、
初めて、
行きたい大学を書いたんです。

結果が返ってきました。

私が希望する学科は
定員が12名だったんですけど、
そのとき全国から
86名が希望していました。

85名が自分のライバルですよね。

で、自分の番数を見たんです。

86名中、86番でした。

そこからのスタートでした。

でも、
私が猛勉強を始めたのを見て、
少しずつ、
応援してくれる人が
出てきたんです。

人から励まされて
応援されるって、
こんなにも大きな力が
もらえるんだ、って
そのとき
すごく思いました。

合格発表の日、
高校から自宅に
電話がかかってきました。

私に結果を電話してくれた先生は、
職員室で「オマエの目は腐っちょる!」って、
大声で怒鳴った先生でした。

その先生がですね、

「小玉…おめでとう!合格してたぞ!
 オマエ、ホントによく頑張ったなぁ…」

って、電話口で
泣いておられました。

それまでずっと、

「どうせ自分のことしか
 考えてないんやろうが!」

って思っていた先生が、
どうでもいいはずの私のために、
涙を流してくれている。

私、そのとき、
先生方に本当に悪いことを
してしまった、って
心の底から後悔しました。

合格の報告とお礼に学校に行くと、
みんな自分のことのように
喜んでくださいました。

最後に化学の先生の所に行きました。

「おめでとう!」と
私の手をものすごい力で
握りしめてくれた先生の笑顔を、
今でも忘れません。

大学2年生の秋頃に、
大学院進学の希望調査が
やってきました。

先生のおかげで
すっかり化学大好き人間に
なってしまった私は、
このまま大学に残って
研究するのも面白いなぁ、
と思っていたんです。

でも、その調査用紙を
見たときにですね、
先生みたいな化学の先生になりたい!
って気持ちが
心の奥底からザバーッって
浮かび上がってきました。

私、どっちもやりたかったから、
決めきれないんですよ。

悩んでいるうちに
どんどん提出の時期が迫ってくるんです。

で、ちょうど
冬休みの始まる1週間ぐらい前でした。

どうしようどうしよう
って考えてたら、
化学の先生の笑顔が
私の頭に浮かんだんです。

「そうだ!
 先生に相談しに行こう!
 先生だったら
 間違いないアドバイスを
 くださるに決まってる。

 先生のアドバイス通りに
 決めよう!」

冬休みが始まって
すぐに母校を訪ねました。

そのとき先生から、
もうこれ以上ないくらいの、
人生を大きく変えるアドバイスを
いただくことになります。

先生はですね、
私が母校を訪ねる数週間ほど前に、
すでに亡くなられていたんです。

病名は、癌でした。

もう奈落の底に
突き落とされたような
ショックでした。

聞いたんですけど、
先生は、
ご自分が癌であることを
知っておられたんだそうです。

自分の命が
あといくらもないことを
悟られた先生は、
残された人生のすべてを
教職に賭けられたんだそうです。

なんでこの先生の授業が
私の心を動かしたのか、
なんでこの先生の話が
私の心に素直に響いていたのか、
一瞬で分かりました。

帰りの自転車置き場でですね、
志半ばで亡くなられた
先生のお気持ちを思うと、
涙が出てきて涙が出てきて
声を上げて泣きました。

そして
そのとき決心したんです。

「この先生の思いを
 受け継ぐのは、自分だ。

 自分はこの先生を一生の目標として、
 教師として生きていくんだ」

って。

先生は、私に対して
「ちゃんと勉強しろ」とか
「生活態度をきちんとしろ」とか
「立ち直れ」とか、
そんなこと
一言も言いませんでした。

いつも笑顔で
優しく接してくれました。

「カリスマとは、
 その背中で
 人の生き方を根底から変える力を
 持つ人のことである」

私にとって先生は、
永遠のカリスマです。

尊敬する大好きな先生を失って、
失意と悲しみの中で
過ごしていた私でしたけど、
3年生になって、
研究室の中のどの教授から
指導を受けるか
決める時期がやって来ました。

私が入っていた研究室は
「理科教育研究室」という、
なんともマニアックな研究室でですね、
教授が二人いらっしゃったんですけど、
一人は普通の優しい先生、
そしてもう一人の先生が
めちゃくちゃ厳しい先生で、
そのお二人の中から、
どちらか一人選べって言うんです。

そのときの連中、
全部で7人いたんですけど、
全員、即決で
優しい先生の方に行く!
って決めるんです。

なんだお前たち!
って頭に来てですね、
別に私、
優等生でも何でもないのにですよ、
一人で
その厳しい先生のところに
飛び込んでいったんです。

この先生との出会いが、
私の人生の進むべき道を
決めてくれました。

この先生、
○○先生って言うんですけど、
本当に誇り高い先生で、
学問に対してたいへん厳しい先生でですね、
これまたみんなの予想を
1ミクロンも裏切らずに
ビシバシ私を
鍛えてくださるんですよ。

で、あんまり厳しいものですから、
ある日、もう辛抱たまらん!
って2か月ぐらい逃げ回ってたんです。

そしたらある日、
友達から
「お前、掲示板に貼り紙が張ってあるぞ」
って言われてですね、
なんだろうと思って行ってみたらですね、
友達が言ってた通り
掲示板に貼り紙が張ってあってですね、
たった一行、

「小玉くん、すぐに私の部屋に来なさい。○○」

って書いてあるんですよ。

「なんじゃこりゃああ!」

って思わず叫んでしまったらですね、
近くにいた女の子2人が
私を見て近づいてきてですね、

「ねえねえ、ひょっとして小玉くん?」

って言うからですよ、

「いやいや、ゼンゼン違いますよ!
 友達なんですよ!友達!」

ってあわてて否定したんですけど、

「じゃあ小玉くんを知ってるの?
 今ね、すごい噂の人になってるから
 どんな人か見てみたくて」

なんて言うからですよ、

「じゃ、じゃあ、
 本人に会ったときに伝えとくわ!
 じゃーねー!」

なんて言いながらダッシュで
逃げ帰ったんですけど、

「どうしてもあの貼り紙を
 はがしてもらわんといかん!
 あ~、ついに年貢の納め時かよぉ…」

って覚悟を決めて
先生の研究室に行きました。

行ったらですね、
案の定むちゃくちゃ叱られてですね、
挙げ句の果てには

「君みたいな学生は初めてだ!」

って、
このフレーズ、
大学時代に5回も6回も
聞くことになるんですけど、
2時間ぐらい正座させられて、
「すみませんでしたー!」って
謝ったりしながらですね、
まあ毎日なんかかんか叱られながら、
厳しいツッコミを入れられながら、
過ごしてたんです。

大学4年生の秋に
大事件が起きました。

教育実習中に
先生に呼び戻されてですね、
いきなり

「小玉くん、君、留年だよ!」

っておっしゃるんです。

私、教育原理っていう講義と
学校教育学っていう講義の単位を
取っていたんですけど、
この2つ、
実は名前が変わっただけで
中身は同じものだったんだそうです。

で、どちらか一方しか
単位は認められない、
だから卒業に必要な単位が
足りません、
って学生課から
連絡があったんだそうです。

この2つ、
同じだから気をつけてくださいね!
っていう連絡が掲示板に
貼っていたらしいんですが、
ちょうど私が逃げ回っていた時期と
ピッタリ一致していたんですね。

私、そのときに、
血の気が引く音が
ハッキリと聞こえました。

で、先生が

「どうしても卒業したかったら、
 君は聴講手続きだけしていて
 全く出席していない講義があるから、
 教育実習から帰ってきたら
 真っ先にその先生のところへ謝りに行って、
 なんとか単位を認めてもらいなさい。」

っておっしゃるんです。

翌日、教育実習が終わって、
その先生の所にすっ飛んで行きました。

「先生、大変申し訳ありませんが…」

と平身低頭、
単位のお願いをしてですね、
なんとか認めていただけたんですけど、
あまりにも衝撃的な出来事だったせいか、
その辺の詳しいところを
あんまり憶えてないんです。

卒業前にその先生に
お礼のあいさつに行きました。

その先生、
女性の先生だったんですけど、

「小玉くん。
 いまからする話は、
 あなたの心の中だけに
 しまっとくのよ」

とおっしゃるんです。

私、ひょっとして、
単位をムリヤリ付けてもらったせいで
先生に何か
不利益なことがあったのかな、
って急にドキドキしてきました。

まさか、こんなことを聞くなんて
夢にも思いませんでしたから。

実は、
あのとき私が実習先に帰ったあと、
○○先生がその先生を
訪ねてこられたんだそうです。

そして、

「ウチの学生が
 先生にご迷惑をおかけして
 本当に申し訳ありません」

って頭を下げて
お詫びしてくれていたんです。

それどころか、

「コイツは本当に
 いろんなことをやらかして
 くれたんだけども、
 見込みがあるヤツなんです。

 なんとか先生のお力で
 卒業させてやっていただけませんか」

って、膝をついて、
土下座してお願いしてくれていたんです。

その先生、○○先生より
一回り以上も年下の先生なんですよ。

しかもその先生、
○○先生が人に頭を下げるのを
初めて見たんだそうです。

もうそれを聞いたときに
涙があふれて
どうしようもなくなってですね、
だってそんなこと、
たったの一言も
おっしゃらなかったですよ。

いつも通り、何も変わらず
ビシバシと私を鍛えてくださって…。

「この話は固く口止めされているの。
 だから、あなたの心の中だけに
 しまっておきなさい。

 必ず良い先生になるのよ!」

私、厳しさの中に、
深い愛情があったんだってことに、
そのとき初めて気づいたんです。

卒業前に、
先生のお宅に招待されました。

といっても
卒業生は私たった一人ですから、
もううれしいやら恐縮やら、
何とも言えない気持ちですよね。

で、宴も酣のところで、

「小玉くん。
 君はいったい何のために
 教師になるのかね?」

って先生から聞かれたんです。

で、高校時代からの話を、
思いつくままにお話ししました。

「そうか・・。
 君のことはね、いろんなことを
 やらかしてくれたけれども、
 なんか憎めないというか、
 なんとかしてやらんといかん、
 と思わせる学生だったんだよ。

 そうか、そんなことがあったのか…。

 きっと天国の先生が
 私にメッセージをくれたんだな。

 …まったく、君みたいな学生は初めてだ。

 まあ、なにはともあれ
 卒業できて本当によかった」

ってしみじみとおっしゃるんです。

ここで泣いたらバレる!泣くな!
って必死に涙をこらえてたんですけど、
そのときに、
先生から2つの餞のお言葉を
いただきました。

「できない子をできるようにするのが教師の使命だ。
 できないことを叱るのは教師ではない。」

「君は叱るプロになるか、それともほめるプロになるか?」

どちらも深い言葉ですよね。

この2つの言葉を胸に、
私の教師人生がスタートすることになります。


教育に必要な厳しさって、
叩いたり怒鳴ったりして力で従わせることではなくて、
目の前にいる子どもの可能性を
微塵も疑わないところから来る
揺るぎない信念、
その信念がピリッともブレないことが、
教師としての厳しさなんだと
私は思うんです。

目の前にいるどんな子どもも
等しく無限の可能性にあふれていて、
輝いているその光を見つけて、
引き出して、
やがてはその光で周りの人を照らすまで
光り輝かせていく、
それが教師冥利に尽きることなんだと、
私は信じています。

だって、
この世の中を夢と希望と笑顔で
いっぱいに輝かせるのが
私たちの使命なんですよね?

きっと、一生をかけて
恩師の背中を
追い続けるんだと思います。



(文章と写真は、小玉宏さんの1月14日のFacebookから引用させていただきました)

----------

あなたが心に残る先生はどんな人ですか?

わたし達は、教えられ、またそれを人に教える。

心に残るあたたかいものを伝える、

人を応援する言葉を残していきたいですね。

人生は、どれだけの人を幸せにしたかです。

あなたが本当に望む世界、

それは「ありがとうの世界」ではないでしょうか。
ありがとう。


たまちゃんの言葉です↓


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